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エストニアで鳥居禮作品展「伊勢の神宮」開催 3

2016年01月03日

前回に引き続き、鳥居禮作品展のキューレーター、タイミ・パヴェスさんにお話をお聞きします。

          展覧会の街灯広告

ーーもしタイミさんが神道や日本の古い伝説に興味をもっていなければ今回の展示会はありませんでした。なぜ伊勢神宮や神道に興味を持ったのでしょうか?

タイミ:神道は日本人のアイデンティティの拠り所になっていると思って、日本の古い伝説に前から興味がありました。エストニアの自然宗教も共通点があって、去年の夏にシベリアに行ってあそこのシャーマニズムも見学して、やっぱり共通点があると思って、ぜひエストニアでとても素晴らしい神道の伝統を紹介したいと思いました。もちろんいろんな文化に自然宗教がありますけど、日本のように今まで続いているのはめったにないです。もう一つは自然ですね。神道の自然を大事にする、尊敬するというのはとても大切ですので、これも理由の一つだと思います。

それと、今は自然だけではなく、政治やいろんなことが大変になっていて、いろんな問題があってとても苦しい時代ですね。神道の積極的なポジティブな明るさとか、清らかさとか、人々は今それを望んでいると思います。

本当にに暴力的な、例えばコンセプトアートとかは、ある意味であきらめてきているのかも知れません。だから神道のような昔の思想の中に良いもの、もっと自分の自信とか、心強さとか探すことができるかも知れません。

私たちは前のジェネレーションの続きですね。だから、もちろん人生は短いですけど、私達の子供とか環境とか将来とかも考えなければなりません。それは、神道の中に体現されていると思います。

ーーエストニアもそういう祖先から繋がっていると言う事や自然を尊敬するという事はみなさん持っているのでしょうか?

タイミ:私たちは残念ながらですね、文字の文化は残っていないです。ある意味民謡の中とか伝説の中に少し残っているんですけれども、そういう、こう流れですね、ひとつの流れとか哲学とか、そこまではないですね。

ーーエストニアは文字とかではないけれども習慣として残っていると。

タイミ:だから神道の話をエストニア人に少し説明するとみんなすぐ分かるんですね。難しい話ではないです。どこか共通点があるんですね。人の考え方とか。この前、鳥居さんと一緒に一つの画廊に行きました。オーナーはタタール人です、ロシア系の。彼はすぐにこの話がわかりました。
でも、それはやはり人によります。エストニアの旅行会社の人に、伊勢神宮も見せたらと言いましたが、「どうして伊勢神宮まで?」と聞き返されました。「あそこには何も面白いものがない」と言われてビックリしました。
伊勢神宮の、その、いろんな作られた物とか建築が特別ですけど、やっぱり場所だけで十分ですね。
森とか他のところで見たことが無いですね。なにか特別なピュアなイメージがあります。
すぐわかるので。こういう光とか、すばらしくて。
私たちは、その、、、自然のエナジーをコントロールできませんでしょう?
できるだけバランスを自分のほうからも守らなければなりませんし、もっと自然とのつながり、とか。若者はそれについて毎日は考えませんけれども、ある年齢に達すると、やっぱり自然はとても大切。

ーーたとえばエストニア人が自然を大切にしているということがわかるような博物館とかありますか?

博物館はないですけれども、タルトゥ大学にはエストニア自然遺跡センター、文化センターとかあります。その人達はいろんな資料を研究して、現地の人たちといろんな話を集めて、たとえば森の中の石が大切とか、そのようなことを一生懸命に、もちろんあまり残ってないですけど研究してます。

ーーパンフレットの巻末に、タイミさんが撮影された写真がありますが、なぜその写真を選ばれたのでしょうか。

           パンフレットの巻末写真

この写真を選んだ理由は注連縄ですね。大変重要な。自然は重要でして、人間としてですね、自然は大切。たぶんその、ある意味で神道のテーマもありましたから。


今回の展覧会は、タイミさんと鳥居さんの運命的とも言える出会いによって実現しました。これからもエストニアと日本の交流発展のために、お二人のご活躍を心から願っています。

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